木工所のオヤジに怒られた!
酒熟成キット #酒ハック 開発秘話①
2024年1月15日
はじまりは、地元・天竜への想いから
酒ハックプロジェクトが立ち上がったのは、静岡県浜松市。地元・天竜の豊かな森と木材に、何か新しい価値を吹き込みたい──そんな思いからのスタートでした。
「地元の木で、お酒をもっと美味しくできないか?」
そのアイデアはやがて形になり、「酒熟成ボトル」というプロダクトの開発が始まりました。日本酒の4合瓶サイズの、スギやヒノキで作る木製ボトル。樽酒のような風味を家庭で気軽に楽しめるボトルをつくろうとしたのです。
高級木材でボトルを削るという挑戦
製法は、一見シンプルでした。角材からボトル状にくり抜いていく。けれどそれは、まるで木でガラス瓶を作るようなもの。とてつもない技術が必要でした。
しかも素材に使えるのは、節のない最高級のスギやヒノキ。寺社仏閣の目に触れる場所に使われるような、育てるのに何十年もかかる特別な材です。
その材木商の担当者の言葉が忘れられません。
「何十本も潰して、やっと1本確保したんだよ」
職人の声と試作品の限界
試作品は美しかった。香りも申し分なく、完成したときの嬉しさは今でも忘れられません。
スギやヒノキの香りが日本酒に溶け込むように移り、とても美味しかったのです。けれどその喜びも、長くは続きませんでした。
立ちはだかった「4つの壁」
- 材料が高価すぎる
無節・上小節といった最高等級の材しか使えない。すべての面に節がない材料はごくわずか。 - 加工が難しい
見えなかった節やヒビが出てきて廃棄に。天然素材ゆえの難しさ。 - 耐久性に難がある
お酒を入れたまま3日で表面が湿る。塗装をすれば香りが遮られるジレンマ。 - 木工所のオヤジに怒られた
「これは使い潰すやり方だ」──静かな口調で告げられた言葉が胸に刺さる。
落ち込んだその先で、ひらめいたこと
「じゃあ、木片を“焼く”ことで香りを閉じ込めたら?」
キャンプの焚き火の前で、ふとひらめいたこの発想が、今の #酒ハック の原点です。
次回予告
次回、「開発ストーリー②」では、焚き火から着想を得た“焼き”の開発と香りの調整にまつわる試行錯誤についてお届けします。
もしあなたが、今までの日本酒に物足りなさを感じていたら──それは、#酒ハック の出番かもしれません。